2018年11月09日
チメ 別れの時
またこの季節がやってきた。
キンモクセイの甘い香りがあちらこちらから漂い始めると
そうチメの誕生日週間が訪れる。
それは秋の訪れを教えてくれる。
そうこうしていると、台風が東京にやってきた。
今年は当たり年で、何個かが日本に向かって、そのひとつが東京にも直撃した。
翌朝は下北沢の街中も、木の枝やゴミやらが散乱して大変なことになっていた。
セレニーテが入っているビルの一帯が夜中に停電になったらしく、おかげでエレベーターが一階で止まっており、開いたままの扉から雨水が入り床が水浸しの状態でけたたましく警報を鳴らしていた。
そんな台風がいつもより早くキンモクセイの香りを連れ去ってしまった後にチメの誕生日を迎えた。
たらこはと言いうと2、3日前から「もうすぐお誕生日おめでとう!」と 繰り返していた。
自分が忘れないようにしているのか、なんなのか?
誕生日と言えば、思い出す。
あれは昨年の梅雨の頃、二人でテレビの連続ドラマを見ていた。
ドラマの設定は、主人公のお嫁さんは妊娠中で、お姑さんたちと暮らしている。
その日はお嫁さんの誕生日。
家族で夕食後に、ケーキが出ている。でも家族のだれも誕生日ということに気付いていないで美味しそうにみんな食べている。
主人公はその日は友人と飲みに行き酔っぱらって階段から落ち大ケガをしてしまい、
いっしょに飲んでいた友人が家に電話で連絡している場面。
その家族は商売をしていた。 なんの商売か忘れたけど?
電話を受けた従業員が、ケーキを食べているのを見て、
「旦那さんは奥さまの誕生日に酔ってケガして・・・・」
アラアラ。
何気なくのセリフ。
それに気づいた姑が、「あらそうだったの? 言ってくれればお祝いしてあげたのに」
お嫁さんは、従業員のところに詰め寄って「余計なこと言わなければ、このままやり過ごせたのに!」
それを見てチメが腹を抱えて大笑い!
指まで差して、苦しそうに笑い転げている。
たらこも、一様に笑っているが?
ドラマを見終わり、12時を回らない前にタラコが歯磨きをしていると、目を真ん丸にしたチメが駆け寄って、
「ごめん今日誕生!きゃー忘れていた」
その日はタラコの誕生日だった。
「さっきは気づかなかった、おめでとう」
それに対して、タラコは、「今日のうちに気づいてくれてありがとう」
チメを、真ん丸の目をくしゃくしゃとした後、“ほっと”した表情に変わった。
思い出してしまった!
どう思います! 皆さん!タラコの対応は?
思い出したらムカついてきた。
テレビ見ているときに言えばいいのに。
ねぇ?
そして、街でみんながハロウィンの大騒ぎしている頃、チメの一年の中でも一番忙しい時期がやってくる。
それは、フィギュアスケートのシーズン。
どこで習得したのかチメは解説者張りに、技を見き分けて説明してくれる。
今年からルールが変わったことにもちゃんと対応している。
チメの心眼には恐れ入ります。
今年も男子は強い!。
女子も育ってきたので一安心。
それと、もう一つが問題。セレニーテの決算がやってくる。
一年間ためていた経理を一気にかたづける。
この二つが重なることで、普段からイラつき気味のチメがさらに尖り始める。
イラ!
そのおかげで、このチメのお話の校正も後回しになり、しまいには「そろそろ、独り立ちしなさい」・・・・・
別れの時が来ました。
これからは、たらこ一人でチメを続けていかなければいけません・・・。