下北沢のちめ    魔古来号🚲焼岳へ。⛰

2018年06月18日

下北沢のちめ   憂鬱

ここ最近は雨の日が多くなってきた。

チメ子はいつものカフェでモーニングを食べながら物思いにふけっていた。

あ~梅雨は嫌だ! 髪の毛はまとまらないし、足元が気になりレインブーツをはかなきゃいけないし、なによりも魔子来号に乗れないのがイラッ!

移動に時間はかかるし荷物は重い。

チメ子はデトックスのために飲んでいるパキスタン産のジールというお茶を、毎日2リットルのサーモスに入れてお店まで運んでいる。毎朝鍋でグツグツと煮出すのだが、けっこう時間がかかり、先に出勤するタラコに持たすことができない。重い!

でも体調&体形キープのためにもこのお茶はやめることができないのだ。

 

さらにここ最近チメ子は睡眠不足。

なぜなら、セレニーテの20周年を迎えるにあたり、お客様へのささやかな感謝の気持ちとして手づくりクッキーを毎朝5時に起きて焼いているから。

はじめは3日間と思っていたが、タラコがうまいうまいというし、お客様の喜ぶ顔を見ているとやめられず1週間になる。

でも、タラコのうまいは何か怪しげ??

私が安室ちゃんのライブTシャツをファイナル前にもう一度お洗濯し、綺麗に畳もうとしたら、なんだかいつになく毛がいっぱいついている!!

どうやらタラコがお店で着ていた“毛だらけ”の服を一緒に洗濯したからだ!イラッ!

確認してから洗濯機に入れてと言っているのに。

あのしつこいまでの美味しい発言はご機嫌取りに違いない。

タラコは世話を焼かせる。 思い出してしまった。

シナモンのクッキーがお気に入りのようでバクバク食べていたわね。

まあいいでしょう。

あ~私のハワイの心地よい風を返して!などと嘆きながら耳まできれいにバターが塗られたパンを咀嚼していると。

「いらっしゃいませ!」

カフェの入り口ドアが開き「空いてる空いてる、いつもの席あいてるよー」という声とともに3人が入ってきた。

1人は男性で50代以上。細身の派手なストライプのパンツを穿き、少し元気がなくなった長めの髪をかなり明るめに染めている。あれはどう見ても美容室のオーナー。

長年の勘で同業者はひと目で分かってしまうのだ。

後の2人は、美容師とは思えない妙齢女性。

3人は喫煙席の少し奥に座った。

お店のお客様? 仲良さそうな感じだからよっぽど長年のお客様なのかな?

興味津々とチメ子は耳をピクピクさせながら、残りのパンを小さな口に放り込んでアイスコーヒーで流し込んだ。

美容室のオーナーはかなり砕けたかんじでおしゃべりしてる。

「○○ちゃんは、どんな雰囲気にしたいの?なんか希望ある?」

すこし若いと思われる女性が答えた。

「私は普通に白っぽくて清潔感がある感じならそれで。先生の趣味とだいぶちがうけど。」

先生って呼ばれてる。ってことはあのオーナー60才は越えてるかもね。

髪型の話じゃない。

お店の一角を仕切って何かするって話だ。

マッサージ?いやあの人の感じからすると、なにか占い的なものに違いない!

ということはあの人は占い師。

なんの占いかしら?

下北沢には、路上の占い師さんも多数いるし、カフェに占い師さんがいるところもあるし珍しくはないけど。俄然興味が湧いてきた!

皆さんご存知の通りチメ子はタロットの使い手。タラコは魔法使いと呼んでいる。

そしてチメ子は、ディズニー映画「ダンボ」に出てくるネズミのティモシーのようにさらに耳を動かしている。

チメ子は嫌なのだが、タラコが似ている似ていると言う。

 

もう少し話を聞きたいけど、ちょっとお腹が痛くなってきた。

ここでタイミングを逃すと・・・・。

いまならお手洗いも空いているし大切な朝の儀式である。

これが滞りなく済むのと、すまないのでは、一日を通してのパフォーマンスに影響がでる。

今日はありがたいことに終日お客様がいらっしゃる。ここはしょうがない。

後ろ髪を引かれつつお手洗いに向かった。

このカフェのお手洗いは構造が少し変わっている。

女性用が左側で男性用が右側。女性用個室の外には専用の洗面台がある。

何故か女性用の洗面台はお店の中からよく見える位置にあり、男性用お手洗いの方が奥にあるのだ。

男性は女性用洗面台を横目で見ながらトイレに向かうかんじ。普通逆でしょ?

個室の中は綺麗でかなり広い。とりあえず他にすぐにお手洗いに立ちそうな女性がいないことはぬかりなく確認してある。ゆっくりスッキリできそうだ。

しまった今日はオールインワンのパンツスタイルでしかも上着を着たままだった。

大好きなオールインワンだけどお手洗いの時は大変。

少し慌てながら上着を脱ぎ、背中のファスナーを下ろそうとしたタイミングで足音が聞こえドアの外に人の気配が!

どうやら洗面台の前で順番待ちをする気ね。まじですか。

これじゃ落ち着いてすっきりできない。自分の入ったあとのお手洗いにすぐ人が入ってしまうのはあまり気持ちよくないし。

しょうがない、あきらめよう。

イラっとしつつ下ろしかけたファスナーを上げ、上着を着直しドアを開けた。

そして洗面台の鏡越しに目が合ったのは、なんとおっさん!

女性用の洗面台で鏡をみつめるおっさん。なんだ?このおっさん。

女性トイレマークがわかんないわけ?

チメ子は思わず「えーーーーっ!!」と思い切り声に出して抗議の気持ちを表現した。

そしてもう一度個室に入り直し盛大に音を立ててドアを閉めた。

ちゃんとスッキリし直すのだ!!

なんだ、あいつは。間違えるような年齢でもなかったよね?

あれ確信犯?洗面台使うだけだからいいと思った?

いや、それにしてもデリカシーないでしょ。あとで睨みつけてやる。

 

いやー!! せっかくの面白そうな話を聞くのを中断してお手洗いに来たのに、余計に時間を取られてしまった。

最終的にはスッキリできたから良かったけど。

 

お会計の時にさっきのおっさんを見つけた。お会計の間も店から出る間もお店の外からもずーっと睨み続けたが、おっさんは気づかぬふり(多分)でテーブルに置いたPCの画面を見つめ続けていた。やっぱりあれは確信犯だ。謝れ!

 

このカフェは下北沢の色々な人が集う場所で面白話が聞けてお気に入りだが、男女の洗面所の位置を逆にするべきだ。と、チメ子は声を大にして言いたい!

 作 タラコ マコ
校閲 マコ

 

 



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serenite0601 at 00:56│Comments(0)物語 

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